2006/2/18 土曜日

アカデミー賞

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この季節、正月映画の狂騒が終わり映画業界はアカデミー賞の季節。年末あたりから予告編やポスターに「アカデミー賞最有力」の文字が躍り、みんな最有力候 補の勢いだ。ノミネート発表後に、選考から漏れてしまって急いでポスターや映画の予告編を差し替える、なんてしゃれにならないこともあるけれど、とりあえ ず話題はアカデミー賞なのだ。
でも、今年のノミネートの面々を見ると正直、地味というか、アカデミー賞らしくない。最多ノミネートがアン・リー監督の「ブロークバック・マウンテン」。
次いで「クラッシュ」と低予算の独立系作品が主にノミネートされている。ストーリーもカウボーイの同性愛の話や、人種差別の愚かさなど、作品的には悪くはないのだが、これまでのオスカーレースでは考えられない作品が主役。
メジャー作品もカントリー歌手ジョニー・キャッシュの生涯を描いた「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」、スピルバーグ監督の「ミュンヘン」がノミ ネートされてはいるが、こちらも地味。かろうじて「プライドと偏見」が華やかな作品としてノミネートされたくらいだ。
今、ハリウッド映画は過渡期をむかえている。マーティン・スコセッシやジョージ・ルーカスなど大作を作ってきた監督たちが、もう制作費が100億円を超 えるような大作は作りたくないと言い出しているし、興行的にも下降線をたどっている。いまここにきて、粗製乱造のつけがまわってきた感じだ。
だが、ハリウッドが、このまま終わるわけがないと思う。その点、今回のアカデミー賞は、ある意味、新しいアメリカ映画のターニング・ポイントなのかもしれない。

2006/2/3 金曜日

プライドと偏見

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「プライドと偏見」はイギリスの女流文学の最高峰、ジェーン・オースティンの名作の映画化。18世紀末のイギリスが舞台。絵画のような田園風景や壮大なお 城の数々でのオール・ロケで“結婚“がテーマの乙女心をくすぐる映画なのである。物語はプライドが高いがために正直に「愛している」と、なかなかいえない 大富豪の青年と、気が強く純粋がための偏見が、本当の愛を曇らせてしまう主人公エリザベスの恋の物語。主演は、今最もハリウッドで輝いているキーラ・ナイ トレイ。純粋でノーブル、そしてはじらいがある演技は、ゴールデングローブ賞の主演女優賞にノミネートされた。「ブリジット・ジョーンズの日記」「ラブ・ アクチャアリー」を製作したスタッフが時にはユーモラスに、時には格調高く、二人の恋の行方をいきいきと映し出している。原作者オースティンは「結婚と は、自分の本当の心を見つけること」といっているように、時代が変わっても「結婚」という言葉の憧れは今でも変わらない。「プライドと偏見」、それを捨て 去ったとき二人に幸せが訪れる。この映画は、そんな心ときめく憧れの映画なのだ。かくいう私も結婚してもう20年もたつが、いまだに手をつないで歩いてい る。そこには「プライドも偏見」も存在しない。存在するのは信頼と少しばかりの畏れ。時に人はそれを愛とよぶ。

モンド・ヴィーノ

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「モンド・ヴィーノ」は世界中のワインの“今”のお話。ワインは世界中で作られ、たくさんの産地があるので選ぶのが大変。そんなとき、アメリカのワイン評 論家ロバート・パーカー・Jrがワインに点数を付けたパーカーズ・ポイントでワインを選ぶのが流行っている。「よくわかんないから、とりあえずパーカーさ んが薦めるんだからまあいいか。」世界中の人々がそんな感じだから、パーカーさんオススメは、スーパーの“今売れています“マークよりも信頼されて、彼が 高い点数を付けたワインは、需要と供給の経済原理で一本何万円もするようになる。そしてコインの裏側のように、この業界に存在する「売れるワイン」を作る 技術を伝授するコンサルタントと、巨大資本をバックに世界中で高値のワインを造ろうとするアメリカの巨大ワイン企業。彼らの売れるワインを作る技術と戦略 に対抗する気候風土(テロワール)を守り、昔からの伝統的なワインを造り続ける人々との、エゴと欲望の戦いは見ごたえある。そして気がついた。衣・食そし て映画さえも同じなのだ。「みんなが良いというのなら、それが良い」そんな風潮が世界中に蔓延している。スタンダード、グローバリネーション、言葉は違う が均一化してきていることは考えようでは恐ろしい。もっと自分で選ぶことの大切さを考えさせてくれる。ワイン好きでなくても、このドキュメンタリーは今の 世界を考えさせる奥の深い映画なのだ。

博士の愛した数式

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「博士の愛した数式」の主人公は不慮の交通事故で、記憶が80分しかもたない寺尾聡扮する天才数学者と彼を世話する家政婦、そしてその息子の物語。博士は 記憶がなくなり何を喋っていいか混乱した時、言葉の代わりに数字を持ち出す。友愛数を「神のはからいをうけた絆の数字」。√は「どんな数字でも嫌がらずに 自分の中にかくまってやる、実に寛大な記号」なんて言い方をして、数式は美しく、キラキラと輝く素敵な世界なのだと教えてくれる。原作は小川洋子の100 万部を超えるベストセラーの映画化。本屋が読んで欲しいと願い、誇りを持って薦める本に贈る第一回本屋大賞を受賞している。原作の潔い、敬う、慈しむ、毅 然などの美しい日本語を映像として表現したのは「雨あがる」「阿弥陀堂だより」の小泉堯史監督と、巨匠黒澤明監督の流れを汲む人々。厳しくも優しい、人を 愛することの尊さを問いかける日本映画。フィクションみたいな残酷な現実が日々起こっている今、この映画はいつまでも心に残る暖かく優しい気持ちにさせる 感動作。なくなりそうな日本人の心をもう一度考えさせてくれるそんな映画なのです。

マザー・テレサ

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中学生のとき、哲学者キルケゴールの本をわけもわからず読んだ。その時は、何か哲学的な雰囲気だけを味わいたかったのだが、
結局キリスト教的な愛を理解できなくてただ苦痛だけが残った。そりゃそうだ、普通に女の子を好きになる事さえままならぬ中学生が、
自己犠牲的な愛なんてわかるわけがない。
映画「マザー・テレサ」は、そんなキリスト教的な愛、宗教の枠をも超えて、貧しく困窮している人々に愛を奉げ続けた女性の物語。
主演のマザー・テレサを演じるのは「ロミオとジュリエット」のオリビア・ハッセー。36歳から87歳までのマザー・テレサを渾身の力で演じきり、見る者の胸を熱い感動の涙で満たす。
愛とは何ぞやと問えば「痛み」なのだ。その、人の「痛み」に、どんなときでも優しさを分け与え、そして「痛み」をわかちあうのが愛なのだということをマザー・テレサは教えてくれる。
文明の再野蛮化しつつある現代においてマザー・テレサの尊い愛を私達は忘れてはいけない。

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